こんにちは、院長の宮脇大です。
先日、患者さんからこんなことを言われました。
「先生、私だって本当はラーメンが食べたいんです・・」
うなずいてしまいました。だって、私だってラーメンが食べたいんです。
今日は、肥満症の治療中・卒業プログラム中の「食欲」とのつき合い方について、医師として、また同じく食欲と日々闘っているひとりの人間として、正直にお話ししますね。
「禁止」ではなく「設計」
まず大前提として、お伝えしたいことがあります。
肥満症の治療で「ラーメンを一生食べてはいけない」というルールはありません。
「治療を始めたら甘いものはダメ」「お酒は禁止」「ご飯は完全カット」── こういうイメージを持って来院される方が、本当に多いんです。
でも、そうじゃないんです。
大切なのは、
- 頻度(どれくらいの間隔で食べるか)
- 量(一度にどれくらいか)
- タイミング(いつ食べるか)
この3つを設計すること。完全な禁止より、ずっと現実的で、ずっと長続きします。
私自身の「ラーメンルール」
参考までに、院長の宮脇大の「ラーメンルール」をお話しします。
私自身、BMI 28.6から卒業プログラムを始めた人間です(私自身がBMI 28.6からプログラムを始めた話)。減量中も、完全にラーメンを断ったわけではありません。
私のルールはこんな感じです:
- 週に1回まで ── 毎日はダメだけど、週に1回なら全体に響かない
- ランチで食べる ── 夜だと活動量が少なく、脂肪になりやすい
- スープを残す ── 塩分と脂質の大半はスープにある
- 替え玉はしない
- その日は他の食事を軽めに調整する
たったこれだけ。でも、これで「食べてはいけない」というストレスが消えました。
「次の水曜日のお昼にラーメン食べよう」と決めると、それまでの数日が楽しみに変わるんです。我慢ではなく、楽しみとして残す。これが卒業プログラムの肝だと、私は思っています。
「我慢」と「自然と要らない」は違う
ウゴービを打つと、食欲の感じ方が変わります(ウゴービを自分に打ってみた1ヶ月レポート)。
ただ、ここで誤解しないでほしいのは、食欲がゼロになるわけではないということ。
ウゴービで起きるのは、
- 食事の途中で「もう十分」と感じる
- 食後の満腹感が長く続く
- 夜中に冷蔵庫を開ける衝動が消える
こういう変化です。「ラーメン食べたい」という気持ちまでは消えません。
逆に言うと、ウゴービは「食欲を消す薬」ではない。「食べなくても平気な時間が増える薬」と理解するほうが正確です。
だからこそ、食事の設計は必要なんです。
「衝動」は心の空腹のことが多い
患者さんから「夜になると無性に何か食べたくなる」というご相談、よくいただきます。
これ、実は 「お腹の空腹」ではなく「心の空腹」 であることが多いんです。
心の空腹の正体は、
- 退屈 ── やることがなくて何となく
- ストレス ── 仕事で疲れた、嫌なことがあった
- 寂しさ ── 一人の夜、誰かと話したい
- 習慣 ── 「この時間に食べる」が体に染み込んでいる
これらに対して、食べ物で対処すると 一時的に紛れますが、根本は解決しない。だから繰り返してしまうんです。
私が試して効いた対策は:
- 温かい飲み物(白湯・ハーブティー・無糖の炭酸水)
- 5分だけ外に出て歩く
- 家族や友人にLINEする
- 湯船に浸かる
- 早めに寝る(疲れている自覚がないだけのことも多い)
これで治まれば、心の空腹だったということ。本当に空腹なら、これらをやっても落ち着きません。
本当の空腹のときの食べ方
「これは本物の空腹だ」と判定したら、食べるのも我慢しなくて大丈夫。
ただし、食べる順番だけは意識します:
- 野菜・きのこ・海藻(食物繊維で血糖の急上昇を防ぐ)
- たんぱく質(肉・魚・卵・大豆 ── 満腹感を持続させる)
- 炭水化物(ごはん・パン・麺は最後に少しだけ)
この順番で食べると、炭水化物の量が自然と減るんですね。
「炭水化物を抜く」のは長続きしませんが、「順番を変える」なら毎日できます。詳しい食事の話は肥満症の食事療法にまとめました。
食欲との「相棒関係」を作る
医師として、また自分自身が肥満症経験者として、強く伝えたいことがあります。
それは、食欲は「敵」ではなく「相棒」だということ。
食欲は生きるために必要な機能です。完全に消すこともできないし、消す必要もありません。
問題は、現代の食環境(高カロリー食品の氾濫・宣伝・利便性)に対して、食欲という機能が過剰反応してしまうこと。
だから、
- 食環境を整える(目の前にお菓子を置かない、外食を減らす)
- タイミングを決める(食事時間を一定にする)
- 楽しみとして残す(完全禁止ではなく頻度設計)
- 薬の力を借りる(必要ならGLP-1で食欲を「リセット」する)
これらを組み合わせる。食欲とケンカするのではなく、相棒としてつき合っていく。
それが、リバウンドしない卒業の核心だと、私は考えています。
Doctor’s Fitness診療所の卒業プログラムでは
当院の卒業プログラムでは、初診で必ず「これだけは食べたい」をお伺いします。
- 「実はチョコレートがやめられなくて・・」
- 「金曜の夜のビールが楽しみで・・」
- 「お母さんの作るおはぎが・・」
これを 禁止リスト にするのではなく、頻度・量・タイミングを設計したリスト にする。これが当院の食事カウンセリングの中心です。
「何を食べないか」より、「何をどう楽しむか」。
ウゴービで食欲をリセットしつつ、好きなものを楽しみとして残す。これが卒業まで続く治療設計になります。
適応条件のチェック、料金、よくある質問もあわせてご覧ください。
よくある質問
GLP-1治療中はラーメンやスイーツを完全に禁止ですか?
禁止ではありません。完全に断つよりも、頻度・量・タイミングを調整するほうが現実的で、長期的に続きます。当院では「週に1回、ランチで」など、楽しみとして残す設計をご提案しています。
食べたい衝動が抑えられないときはどうすれば?
まず空腹か感情かを区別すること。退屈・ストレス・寂しさからの「心の空腹」は、温かい飲み物や軽い運動・人との会話で和らぐことが多いです。本当の空腹なら、たんぱく質と野菜から食べると満足感が早く来ます。
ウゴービを打つと食欲はゼロになりますか?
ゼロにはなりません。食べたい気持ちは残りますが、「食べなくても平気」「途中で十分」と感じる回数が増えます。完全に消えるわけではないので、食事計画はやはり大切です。
お酒はどうですか? 完全にやめる必要がありますか?
完全に禁止する必要はありませんが、減量期はカロリー・睡眠の質・GLP-1の副作用(吐き気)への影響から、頻度と量を控えることをおすすめします。蒸留酒(焼酎・ハイボール)を少量、頻度を週1〜2回に抑える、というルールが現実的です。
食べた後に罪悪感がすごいです・・
その気持ち、よく分かります。ですが、罪悪感は次の暴食の引き金になりやすいんですね。「今日食べた、明日は野菜から食べよう」と切り替えるほうが、長期的にうまくいきます。完璧主義は卒業の敵です。
関連記事 / 他サイトの情報
- ウゴービを自分に打ってみた1ヶ月レポート
- 私自身がBMI 28.6から卒業プログラムを始めた話
- 肥満症の食事療法 — 何をどう変えるべきか
- 肥満は意志の問題ではない
- 食事の細かい話は姉妹サイトのeat.doctors.fitnessもあわせてご覧ください
食欲を敵にしない。我慢ではなく、楽しみとして残す。これが、私自身が卒業プログラムを続けてこられた一番の理由です。
「もうずっと我慢の人生なんでしょ・・」と不安に思っている方、まずはLINEでお気軽にご相談ください。あなたの「これだけは食べたい」を一緒に設計しましょう。
それでは、また!
次回は「卒業した患者さんの話 — Aさんのケース」についてお話しします。
よくある質問
- Q.GLP-1治療中はラーメンやスイーツを完全に禁止ですか?
- A.禁止ではありません。完全に断つよりも、頻度・量・タイミングを調整するほうが現実的で、長期的に続きます。当院では『週に1回、ランチで』など、楽しみとして残す設計をご提案しています。
- Q.食べたい衝動が抑えられないときはどうすれば?
- A.まず空腹か感情かを区別すること。退屈・ストレス・寂しさからの『心の空腹』は、温かい飲み物や軽い運動・人との会話で和らぐことが多いです。本当の空腹なら、たんぱく質と野菜から食べると満足感が早く来ます。
- Q.ウゴービを打つと食欲はゼロになりますか?
- A.ゼロにはなりません。食べたい気持ちは残りますが、『食べなくても平気』『途中で十分』と感じる回数が増えます。完全に消えるわけではないので、食事計画はやはり大切です。