こんにちは、院長の宮脇大です。
前回私自身がBMI 28.6から卒業プログラムを始めた話を書きました。
今回はその続編。自分自身にウゴービを処方して、最初の1ヶ月で何が起きたかを、医師として、また患者として、正直にレポートします。
これは教科書には書かれていない、体感ベースの記録です。
Day 1:初回注射、何が起きたか
2025年1月、夜の診察後。
ウゴービ0.25mg(導入用量)を、自分のお腹に注射。手順は:
- ペン型注射器のキャップを外す
- 注射針をセット
- 用量ダイヤルを0.25mgに
- お腹の脂肪をつまんで、垂直に針を刺す
- ボタンを押して薬液を注入(数秒)
- 抜く
注射そのものは、ほぼ無痛。インスリンの自己注射と同じ感覚です。「えっ、これだけ?」というくらい簡単でした。
Day 1〜3:軽い吐き気
打った当日は何も変化なし。
翌朝から、軽い吐き気が出ました。「船酔いの2割増し」くらいの感覚。
仕事には影響なし。食事を控えめにすると楽になる。1週間ほどで完全に慣れました。
実は、この副作用は 薬が効いている証拠 でもあります。胃の動きが遅くなり、満腹感が持続することの裏返し。
「副作用 = 体に悪い」というシンプルな話ではないんですね。
Day 4〜7:食欲の変化に気づく
3日目あたりから、食欲の感じ方が変わってきました。
- ランチで「いつもの量」を食べると、後半で「もう十分」と感じる
- 夕食後、デザートやお酒が欲しくなくなる
- 夜の間食欲(冷蔵庫を開ける衝動)が消える
これは新鮮な感覚でした。**「我慢している」のではなく、「自然と要らなくなる」**のです。
医師として、ウゴービの作用機序(脳の満腹中枢への作用)は知っていました。でも、実体験すると違います。これは食欲を「抑えつける」のではなく、「リセットする」感覚なんです。
Day 8〜14:体重に変化が
2週目に入って、体重が動き始めました。
- 開始時:85.0kg
- 1週間後:84.2kg(-0.8kg)
- 2週間後:83.5kg(-1.5kg)
劇的な減少ではないですが、食事を意識的に減らさなくても、自然と摂取カロリーが減るので、徐々に減っていきます。
「我慢ダイエット」と違うのは、ストレスがないこと。これが続けられる最大の理由だと感じました。
Day 15〜21:便秘との闘い
3週目に入ると、便秘が気になりました。
胃の動きが遅くなる作用の延長で、腸の動きも少し鈍くなります。
対策:
- 水分を意識して多めに摂る(1日1.5L以上)
- 食物繊維(野菜・きのこ・海藻)を増やす
- 軽い運動(ウォーキング、ストレッチ)
- どうしてもひどい時は酸化マグネシウム(便を柔らかくする薬)を頓服
これで概ね解決しました。
Day 22〜28:食事の質も自然と変わる
ここで興味深い変化がありました。
食欲が落ち着くと、「何でもいいから食べる」が、「美味しいものを少し食べる」に変わる。
具体的には:
- インスタント食品を選ばなくなった
- 野菜・魚・肉のバランスを自然に気にするように
- 「今食べたいか?」を考えてから食べるように
ウゴービで食欲という強迫が緩んだ結果、食事の選択がクリアになる。これは大きな副産物でした。
Day 29:初回4週終了、増量へ
1ヶ月経過時点での結果:
- 体重:85.0kg → 82.3kg(-2.7kg)
- 腹囲:96cm → 93.5cm(-2.5cm)
- 食欲のコントロール感:大きく改善
- 副作用:吐き気はほぼ消失、便秘は管理可能
ここで0.25mg → 0.5mg(2倍量)へ増量します。再び吐き気が出るかもしれませんが、対処法は分かっているので、それほど不安はありません。
患者さんに伝えたいこと
ウゴービを始める前は不安だらけでした。「副作用は大丈夫か」「効くのか」「やめたらどうなるか」。
実際に打ってみて分かったのは:
- 副作用は確かにあるが、対処可能
- 「我慢ダイエット」とは違う、自然な減量感
- 生活習慣と組み合わせれば、卒業の現実味がある
だからこそ、これは**「適正使用」でこそ価値がある治療**。SNS広告の「カンタンに痩せる」と同列に語ってはいけないと、改めて思います。
Doctor’s Fitness診療所で受ける場合
当院での卒業プログラムでは、初回注射はクリニックで看護師と一緒に行います。注射のやり方、用量ダイヤルの操作、注射部位の選び方など、丁寧に教えます。
2回目以降は自宅で自己注射。月1回の診察で副作用と効果をチェックします。
詳しくは卒業プログラムのページへ。
それでは、また!
次回は「肥満は意志の問題ではない — 自己責任論の誤り」についてお話しします。
関連記事:
よくある質問
- Q.ウゴービを打って一番変わったことは何ですか?
- A.「食べたいという衝動」が静まったことです。我慢している感覚ではなく、自然と『そんなに食べなくていいや』と思える。これが食欲抑制の正体なんだなと、医師として実感しました。
- Q.副作用の吐き気はどれくらいの強さでしたか?
- A.最初の数日は軽い船酔いのような感覚がありました。食事を控えめにすると軽減し、1週間ほどで慣れました。横になると楽になりますが、仕事に支障が出るほどではありませんでした。
- Q.注射そのものは痛くないですか?
- A.細い針で、ほとんど痛みは感じません。お腹の脂肪に皮下注射するのですが、注射経験のない方が想像するよりずっと簡単で、痛みも軽微です。3回目以降は完全に慣れました。