こんにちは、院長の宮脇大です。

今日は、ちょっと考えさせられる話をします。

「太っているのは、結局自分のせいでしょ」
「意志が弱いから痩せられないだけ」

こういう言葉、聞いたことありませんか?

患者さん自身が自分を責めていることもあれば、社会の偏見として向けられることもあります。

でも、医学的に見ると、この「自己責任論」は完全に間違いなんです。今日はその根拠をお話ししますね。

「意志」では決まらない3つの理由

① 遺伝の影響が大きい(BMIの約67%)

前回の記事でもお話ししましたが、双子研究によるとBMIの個人差の**約67%**は遺伝で説明されます。

太りやすい体質、節約遺伝子、満腹を感じにくい遺伝子 ── これらは生まれ持ったもの。本人が選んだものではありません。

「身長が低いのは自己責任」とは誰も言わないように、「太りやすいのも自己責任」ではないんです。

② ホルモンと脳の働き

肥満には、ホルモンと脳が大きく関わります。

  • レプチン抵抗性:満腹ホルモンが効きにくくなる
  • インスリン抵抗性:血糖を脂肪に変えやすくなる
  • グレリン分泌異常:空腹ホルモンが過剰に出る
  • 脳の報酬系:食事から得る快感が強い

これらは「意志」でコントロールできない領域です。

肥満が長引くほど、これらのホルモン・脳の働きは「太りやすい状態」に固定されていきます。本人が頑張っても、生物学的に元に戻りにくい仕組みになっているんです。

③ 環境要因(食環境・社会的要因)

現代社会は、肥満を促進する環境にあふれています。

  • 24時間営業のコンビニ
  • 高カロリー・低栄養の加工食品
  • ジュースの大型化
  • 座位中心の働き方
  • ストレス過多な生活

これらは個人の意志ではなく、社会全体の構造の問題です。

「自己責任論」が奪うもの

自己責任論の最大の弊害は、患者さんから医療へのアクセスを奪うことです。

具体的には:

  • 「肥満で病院に行くなんて恥ずかしい」
  • 「太ってる自分が悪いから、診てもらう資格がない」
  • 「医者に行く前に、まず自分で痩せるべき」

こういった思い込みが、糖尿病・心筋梗塞・脳梗塞・がんなどの重大な合併症の発見を遅らせます。

「肥満は意志の問題」という思い込みが、命を縮めているケースがあるんです。

学会・WHOの正式な立場

国際的にも、肥満は明確に「医学的疾患」と位置づけられています。

  • WHO(世界保健機関):肥満は「慢性疾患」
  • 米国医師会:2013年に「肥満は疾患である」と公式声明
  • 日本肥満学会:肥満症は「医学的に治療すべき疾患」
  • 欧州肥満学会:「肥満は道徳的失敗ではない」という患者向け声明

世界の医療界は、**「肥満は自己責任ではない」**という共通認識に立っています。

だからこそ、医学的アプローチが必要

意志の問題でないなら、意志で解決しようとしても無理があります。

医学的アプローチとは:

  • 適切な薬物療法(GLP-1製剤など)
  • 管理栄養士による個別指導
  • 運動療法
  • 必要に応じて外科治療(高度肥満の場合)

これらを組み合わせて、生物学的・心理学的・社会的に介入する。これが現代の肥満症医療です。

「頑張りが足りない」「意志が弱い」と自分を責めるのではなく、医学に頼ることが正解なんです。

自分を責めることをやめる

外来でよく言うことがあります。

「自分を責めるのは、もうやめましょう。それは医学的に正しい姿勢ではありません」

患者さんに「あなたのせいではない」と伝えると、表情が変わります。

長年、自分を責めてきた重荷が、ふっと軽くなる瞬間があります。そこから本当の治療が始まります。

Doctor’s Fitness診療所では

当院は、「あなたのせいではない」という前提から始まる肥満症外来です。

判断や説教はしません。医学的に、伴走者として、卒業までサポートします。

詳しくは卒業プログラムのページへ。LINE相談は無料です。

それでは、また!

次回は「新大阪で肥満症治療を受けるなら ── クリニック選びのチェックリスト」についてお話しします。


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よくある質問

Q.本当に意志で痩せられる人もいるのでは?
A.もちろんいます。ただし、それは『意志が強いから』というより、『太りにくい遺伝的背景 + 環境がそろっていた』という幸運の側面が大きいことが分かっています。痩せられない方を『意志が弱い』と評価するのは、科学的に正しくありません。
Q.「自己責任論」は何が問題なんですか?
A.肥満症の方が医療機関を受診することを妨げ、適切な治療機会を奪ってきました。『恥ずかしくて病院に行けない』『太っているのは自分が悪い』という思い込みが、心血管疾患・糖尿病などの重大な合併症の発見を遅らせます。
Q.WHOや学会は肥満をどう位置づけていますか?
A.WHO・米国医師会・日本肥満学会は、肥満を「医学的疾患」と明確に位置づけています。世界的な肥満医療学会は「肥満は道徳的な失敗ではなく、複雑な慢性疾患である」という声明を繰り返し出しています。

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