こんにちは、院長の宮脇大です。

「SNSで見たGLP-1の広告、安いし簡単そうだけど大丈夫?」

こういう質問、ものすごく多いんです。今日は、医師として正直なところをお話しします。

なお、特定のクリニックを名指しで批判する意図はありません。「メディカルダイエット」と呼ばれる業態の全般的な特徴について解説します。

まず、ここが決定的に違う

医療機関の肥満症治療と、SNSの「メディカルダイエット」の決定的な違いは、4つあります。

1. 使う薬の適応

医療機関の肥満症治療: 肥満症に薬事承認された**ウゴービ(セマグルチド)またはゼップバウンド(チルゼパチド)**を使用。

SNSのメディカルダイエット: 多くが**マンジャロ(糖尿病薬)またはオゼンピック(糖尿病薬)**を、肥満症の方に減量目的で処方。これは適応外処方です。

なぜ適応外薬を使うかというと、薬剤費が安く、クリニック側の利益率が高いから ── という事情があるようです。

2. 適応条件の評価

医療機関: BMI 27以上+11の健康障害を2つ以上、またはBMI 35以上、という適応条件をチェック。健康診断結果や血液検査で判断します。

メディカルダイエット: 「BMI 25以上なら誰でも」「希望者は誰でも」というケースが少なくありません。「美容目的の方」「BMI 22の方が美しくなりたい」も対象にすることがあります。本来は薬を使う適応がない方への処方になります。

3. 副作用フォローの体制

医療機関: 月1回の定期診察、血液検査、副作用評価。必要時には対面で診察。重篤な副作用(急性膵炎、胆嚢炎など)への対応体制。

メディカルダイエット: オンライン完結のケースが多く、対面評価なし。副作用が出ても自己判断で対処することになりやすい。

GLP-1には急性膵炎・胆嚢炎・甲状腺髄様癌といった重篤な副作用のリスクがあります。これらは血液検査や画像検査で評価する必要があるんです。

4. 生活習慣指導の有無

医療機関: 管理栄養士による栄養指導、運動指導、睡眠指導など、生活習慣全般のサポート。

メディカルダイエット: 薬の処方のみ、ということが大半。生活習慣の改善はほぼノータッチ。

「やめたら戻る」を考えていない設計

GLP-1は注射をやめれば食欲が戻り、体重もリバウンドする可能性があります。

医療機関の肥満症治療は、この事実を踏まえて、生活習慣改善を並行して行い、薬を卒業することをゴールにします。

一方、メディカルダイエットは「打ち続ければ痩せ続ける」ことを前提にしているように見えます。一生注射し続けるか、やめてリバウンドするか、という二択を迫られることになります。

価格の比較に潜む罠

「メディカルダイエットの方が安い」と感じる方も多いと思います。

確かに、薬剤費だけ比較するとそうかもしれません。マンジャロは肥満症適応薬より安価です。

ただし、含まれていないコストがあります:

  • 対面診察費
  • 血液検査費
  • 栄養指導費
  • 副作用フォロー費
  • 万が一の救急対応

これらを別途自費で受けることになると、トータルではほぼ同じか、医療機関の方が安くなることも多いです。

そして何より、**「治療がうまくいかなかった時のコスト」**は計り知れません。重篤な副作用、リバウンド、リバウンド後の薬への依存・・お金には換算できない損失も含めて考えてください。

当院でできないこと、できること

正直に書きます。

当院でできないこと:

  • BMI 25以下の方への減量目的処方
  • 美容目的のGLP-1処方
  • 適応条件を満たさない方への処方

当院でできること:

  • 肥満症の医学的評価と診断
  • 適応のあるウゴービまたはゼップバウンドの処方
  • 生活習慣改善のサポート
  • 「卒業」を前提にした治療設計
  • 副作用の対面フォロー

つまり、医療として正しい使い方をすることしかしません。

判断はあなたに

最後に、これだけは言っておきたいです。

医療機関を選ぶか、メディカルダイエットを選ぶか、それは患者さんの判断です。私たちが強制できることではありません。

ただ、選ぶ前に、**「何が違うのか」**を知っていただきたい。それだけです。

何か質問があればLINEでどうぞ。「他のクリニックと迷ってます」という相談でも全然OKです。


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それでは、また!

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よくある質問

Q.SNSで広告しているクリニックも医師がやっているなら問題ないのでは?
A.医師資格があっても、適応外処方であることは変わりません。糖尿病治療薬を肥満症の方に減量目的で処方することは、本来の薬の使い方から外れています。また、副作用フォローや生活指導が伴わないケースが多く、医療として不十分です。
Q.オンライン完結で楽そうですが、デメリットはありますか?
A.対面診察がないと、副作用の評価や全身状態のチェックが不十分になります。GLP-1には急性膵炎・胆嚢炎・甲状腺髄様癌など重篤な副作用のリスクがあり、定期的な対面評価が安全のために重要です。安易なオンライン完結処方はおすすめしません。
Q.費用はSNSの方が安いように見えるのですが?
A.薬剤費だけ比べると安く見えることもあります。ただし、対面診察・栄養指導・必要時の検査・副作用フォローの費用が含まれていない場合が多いです。トータルで見た時の医療の質と安全性を考慮することをおすすめします。

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