こんにちは、院長の宮脇大です。

「マンジャロで○kg痩せた!」「マンジャロ処方します」というSNS広告、見たことありますよね。

実はこれ、医療として適応外処方にあたります。今日はその意味と、なぜ当院がマンジャロを減量目的で処方しないかをお話しします。

マンジャロとは何の薬か

まず基本から。

マンジャロ(一般名: チルゼパチド)は、イーライリリー社が開発したGLP-1/GIPデュアル作動薬です。

日本での薬事承認は 「2型糖尿病」のみ。肥満症は承認適応に含まれていません。

つまり、糖尿病の方の血糖コントロールのために使う薬、というのが正式な位置づけです。

一方、ゼップバウンドは肥満症用

ややこしいのですが、同じチルゼパチド成分で肥満症用に承認されたものが「ゼップバウンド」です。

  • マンジャロ: 2型糖尿病用、用量2.5〜15mg
  • ゼップバウンド: 肥満症用、用量2.5〜15mg

同じ成分、同じ用量範囲。違いは「適応」だけ。これが医療制度の不思議なところです。

「適応外処方」の意味

医師は、患者さんの状態を見て、承認適応外の薬を処方することができます。これを**適応外処方(オフラベル処方)**と言います。

例: 高血圧の薬を片頭痛予防に使う、抗うつ薬を慢性疼痛に使う、など。医学的根拠があり、患者さんの利益になる場合に行います。

ただし、適応外処方には前提があります:

  1. 患者さんに適応外であることを説明し、同意を得る
  2. 医学的に根拠があり、ベネフィットがリスクを上回ると判断できる
  3. 副作用の責任を医師が負う
  4. 健康保険は使えない(自費診療)

これらの前提を守った上で、合理的な理由がある場合に限り、適応外処方は認められます。

マンジャロの肥満症使用は適切か

ここからが本題です。

「マンジャロを肥満症の方に使う」という適応外処方は、上記の前提を満たしているでしょうか?

正直に言うと、グレーです。

プラス側の論点:

  • チルゼパチドは肥満症にも効くことは臨床試験で示されている(SURMOUNT試験)
  • 成分はゼップバウンドと同じ
  • 患者さんの選択肢を増やせる

マイナス側の論点:

  • 肥満症用のゼップバウンドが日本で承認されている以上、わざわざ適応外処方を選ぶ合理的理由が乏しい
  • 「マンジャロの方が安い」が動機の場合、医療より経済合理性が優先されている
  • 適応外であることの説明と同意が省略されているケースが多い
  • 適応条件(BMI 27以上+健康障害など)のチェックが甘いケースが多い

つまり、「適応外処方の前提」を満たしているケースが少ない、というのが実態だと感じます。

SNS広告の問題点

特にSNS広告のマンジャロ処方は、以下が問題視されます。

  1. 適応条件を無視した処方: BMI 20台前半の美容目的の方にも処方
  2. 副作用フォローの不足: オンライン完結で対面評価なし
  3. 生活習慣指導の不在: 薬の処方のみで完結
  4. 「適応外」の説明の省略: 患者さんが「肥満症の正規治療」と誤認

これらは医療として不適切と言わざるを得ません。

当院がマンジャロを減量目的で処方しない理由

Doctor’s Fitness診療所では、以下の方針を貫いています。

マンジャロを処方するケース: 2型糖尿病の方への血糖コントロール目的 マンジャロを処方しないケース: 減量目的(肥満症の方を含む)

肥満症治療を希望される方には、承認適応のあるウゴービまたはゼップバウンドをご提案します。

「マンジャロの方が安いから」と聞かれることもありますが、医療として正しい使い方を優先したい、というのが当院の立場です。

患者さんへのお願い

「マンジャロでメディカルダイエット」を検討されている方には、せめて以下を確認していただきたいです。

  1. 適応外処方であることの説明を受けたか
  2. 適応条件(BMI、健康障害)を医師が評価したか
  3. 副作用フォロー(対面診察、血液検査)の体制はあるか
  4. 生活習慣指導は含まれているか

これらに「いいえ」が多い場合、医療として不十分かもしれません。

ご相談はLINEからお気軽にどうぞ。「マンジャロを使ってるけど、どうしたらいい?」という質問でもOKです。


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それでは、また!

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よくある質問

Q.成分が同じなら、マンジャロでもゼップバウンドでも効果は同じでは?
A.薬理学的にはおっしゃる通りです。ただし、医療制度上は「適応」が異なる別の薬として扱われます。糖尿病治療薬のマンジャロを糖尿病ではない方に減量目的で処方することは、本来の薬の使い方から外れた行為です。
Q.違法ではないのですか?
A.適応外処方自体は医師の裁量で行うことができ、即座に違法というわけではありません。ただし、医療広告ガイドラインに抵触するケースや、健康保険の不正請求につながるケースは問題です。倫理的な観点でも適正使用が望まれます。
Q.マンジャロの方が安いのはなぜですか?
A.マンジャロは糖尿病治療薬として保険適用される前提で、ゼップバウンドは肥満症用に高用量設計されているため、薬価が異なります。一般にマンジャロの方が安価です。ただし、適応外で使う場合は当然自費となり、それでも薬剤費は安いケースが多いです。

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