こんにちは、院長の宮脇大です。

「先生、私もう・・体質ですから。両親も太ってますし」

外来でこの言葉を聞くと、いつも複雑な気持ちになります。

確かに太りやすさは遺伝の影響が大きい。これは医学的事実です。でも、それは「諦めていい」という意味ではなく、むしろ自分を責めなくていい根拠でもあるんです。

今日は肥満と遺伝の関係について、お話ししますね。

「BMIの67%は遺伝」という研究

肥満と遺伝の関係を調べる王道の研究手法が、双子研究です。

一卵性双生児(遺伝子100%同じ)と二卵性双生児(遺伝子50%共有)のBMIのばらつきを比較することで、遺伝がBMIにどれくらい影響するかが計算できます。

主要な研究をまとめると、BMIの個人差の約67%が遺伝で説明されるということが分かっています。

これは身長(約80%が遺伝)に近い数字で、目の色や肌の色と同じく、生まれ持った要素が大きいことを示しています。

「太る遺伝子」の例

肥満に関連する遺伝子は、研究で数百個見つかっています。代表的なもの:

FTO遺伝子 最もよく知られた肥満関連遺伝子。リスクアレル(変異)を2つ持つと、平均で3kg程度BMIが高くなるという報告。日本人の約20%が該当します。

MC4R遺伝子 食欲の中枢調節に関わる遺伝子。変異があると満腹感を感じにくく、過食傾向に。

β3アドレナリン受容体遺伝子 日本人で多く見られる肥満遺伝子。基礎代謝が低くなる傾向があり、「節約遺伝子」とも呼ばれます。日本人の約30%が該当。

これらの遺伝子は単独では大きな影響を持ちませんが、複数組み合わさると太りやすい体質になります。

「自己責任論」は科学的に間違い

ここが今日一番伝えたいこと。

「太っているのは自分のせい」「食べ過ぎなだけ」 ── こういった自己責任論は、科学的に正しくありません

太りやすさの3分の2は、自分でコントロールできない領域。これは身長や肌の色と同じです。「身長が低いのは自己責任」と言わないように、「太っているのも自己責任」とは言えないんです。

肥満症は、医学的に治療すべき疾患として位置づけられています。意志の弱さではなく、医学的アプローチで対応するべきもの ── これが現代医学の立場です。

それでも「環境」は変えられる

遺伝が67%なら、残り33%は環境要因。これは小さくない数字です。

同じ遺伝子を持つ一卵性双生児でも、ライフスタイルが違えば20kg以上の体重差が出ることがあります。

つまり:

  • 「太りやすい体質」は存在する(これは事実、自分を責めない)
  • 「それでも変えられる部分」もある(食事・運動・睡眠・薬)

この両方を受け入れることが、肥満症治療の出発点です。

自分の遺伝リスクを知るという選択

最近は遺伝学的検査で、自分の肥満リスクを把握できます。

  • 「太りやすい体質か」
  • 「糖質に弱いタイプか、脂質に弱いタイプか」
  • 「2型糖尿病・脂肪肝のリスクは高いか」

検査結果を踏まえて、自分に合った食事・運動を設計できる時代です。

当院の兄弟サイトgenome.doctors.fitnessで、GreenChord遺伝学的検査を提供しています。気になる方はチェックしてみてください。

Doctor’s Fitness診療所では

当院では、患者さんの遺伝的背景・既往歴・生活パターンを総合的に評価して、**「あなたに合った肥満症治療」**を設計します。

「自分は意志が弱いから・・」と諦めないでください。意志の問題ではなく、医学的アプローチの問題です。

詳しくは卒業プログラムのページへ。LINE相談は無料です。

それでは、また!

次回は「私自身がBMI 28.6からプログラムを始めた話」をお話しします。


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よくある質問

Q.遺伝で決まるなら、何をしても無駄ですか?
A.そんなことはありません。遺伝は「太りやすさの素地」を決めますが、最終的な体重は生活習慣との掛け算で決まります。同じ遺伝子を持つ双子でも、ライフスタイルで20kg以上差が出るのは普通のこと。遺伝を理解した上で、自分に合った介入を選ぶことが大事です。
Q.自分の肥満遺伝子を調べることはできますか?
A.可能です。GreenChord等の遺伝学的検査で、肥満・糖尿病・脂質異常症などのリスク評価ができます。当院兄弟サイトの[genome.doctors.fitness](https://genome.doctors.fitness/)で詳しく紹介しています。
Q.親が肥満だと、自分も必ず肥満になりますか?
A.必ずではありません。両親ともに肥満の場合、子どもが肥満になる確率は約80%とも言われますが、これは「環境の共有」(食習慣・運動習慣)による影響も含まれます。生活習慣を変えれば、十分にコントロール可能です。

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