こんにちは、院長の宮脇大です。
先日、健康診断の結果を持って来院された方から、こんな質問をされました。
「先生、BMIが28なんですけど、私って『肥満症』なんでしょうか?」
・・とても良い質問なんです。
実は、医学的には**「肥満」と「肥満症」はまったく別物**として扱われています。今日はこの違いについて、できるだけわかりやすくお話ししてみますね。
「肥満」は身体的特徴。「肥満症」は病気
結論から言うと、こういうことです。
「肥満」: BMI 25以上の状態 ── あくまで身体的特徴。 「肥満症」: 肥満に加えて、健康障害を合併している、または内臓脂肪型肥満を伴う ── 医学的な疾患。
つまり、BMIが25以上でも、健康障害がなければ「肥満症」ではありません。「肥満」という身体的特徴を持っているだけ。
身長が高い・低い、肌の色、体型と同じく、「肥満」は身体的特徴のひとつ。それ自体を病気として治療する必要はないんですね。
問題は、肥満に他の病気がくっついてきた瞬間です。それが「肥満症」です。
肥満症の診断基準 — 11の健康障害
日本肥満学会の『肥満症診療ガイドライン2022』では、以下のように定義されています。
肥満症の診断基準:
- BMI 25以上
- かつ、以下のいずれかを満たす
- 肥満に起因または関連する11の健康障害を1つ以上合併している
- 内臓脂肪型肥満(腹部CTで内臓脂肪面積100cm²以上)
「11の健康障害」とは:
- 耐糖能障害(糖尿病・糖尿病予備軍)
- 脂質異常症
- 高血圧
- 高尿酸血症・痛風
- 冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)
- 脳梗塞・一過性脳虚血発作
- 非アルコール性脂肪性肝疾患
- 月経異常・女性不妊
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群
- 運動器疾患(変形性関節症・腰痛症)
- 肥満関連腎臓病
読んでいて「あ、自分これも当てはまるかも」と思った方、結構いらっしゃるんじゃないかなと思います。
「内臓脂肪型」だと、BMI 25未満でも肥満症の可能性
ここが大事なポイントなんですが、BMIだけでは判断できないんです。
日本人は欧米人と比べて、見た目はあまり太っていなくても、お腹周りに脂肪がついている「内臓脂肪型肥満」の方が多いと言われています。
CTで内臓脂肪面積を測って 100cm²以上あれば、BMIが25未満でも肥満症と診断されることがあります。
ちなみに私自身も、2024年末にBMI 28.6、内臓脂肪面積125.1cm²という、まさに「肥満症」の診断基準にバッチリ当てはまった一人です・・(汗)
「先生も太ってましたよね?」と患者さんに言われることがありますが、はい、その通りでした(笑)
なぜ「肥満症」を病気として扱うのか
「太っているくらいで病気って言われるのは・・」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、これは意志の問題ではないんです。
BMIに対する遺伝的要因の寄与は**約67%**と言われています。つまり、太りやすさの3分の2は、生まれ持ったもの。これは身長や肌の色と同じく、自分でコントロールできない領域です。
それで併発する11の健康障害が、心筋梗塞・脳梗塞・癌・腎臓病・・と、命に関わるものばかり。だからこそ、「自己責任で頑張れ」ではなく、医学的に治療すべき疾患として位置づけられているんですね。
Doctor’s Fitness診療所の肥満症外来
当院では、肥満症の方に対して、「卒業プログラム」という独自のアプローチを提供しています。
GLP-1治療薬(ウゴービ)を正しく使いながら、食事・運動・睡眠の習慣を整えて、最終的に薬を卒業することをゴールにする ── そんな設計です。
詳しくは卒業プログラムのページをご覧ください。適応条件のセルフチェックもあるので、自分が対象になるか確認してみてくださいね。
ご相談はLINEからいつでもどうぞ。「自分は対象になるんでしょうか?」という質問だけでもOKです。
それでは、また!
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よくある質問
- Q.「肥満」と「肥満症」の違いは何ですか?
- A.「肥満」はBMI 25以上の身体的特徴で、それ自体は病気ではありません。一方「肥満症」は、肥満に加えて糖尿病・高血圧など11の健康障害のいずれかを合併、または内臓脂肪型肥満(CT 100cm²以上)を伴う医学的な疾患です。治療対象になるのは肥満症の方です。
- Q.BMIが25未満でも肥満症と診断されることはありますか?
- A.通常はありません。ただし、内臓脂肪型肥満(腹部CTで内臓脂肪面積が100cm²以上)の方は、BMIが基準に達していなくても肥満症と診断されることがあります。日本人は欧米人より内臓脂肪型が多いため、BMIだけでは判断できないケースが珍しくありません。
- Q.肥満症の治療はどんな選択肢がありますか?
- A.食事・運動・睡眠の生活習慣改善が土台です。それで効果が不十分な場合、薬物療法(GLP-1製剤のウゴービ・ゼップバウンドが肥満症に薬事承認)、外科治療(高度肥満の場合)が選択肢になります。当院では薬を「卒業」することをゴールにした治療プログラムを提供しています。