こんにちは、院長の宮脇大です。
前回ウゴービについて解説しました。今日はもう一つの肥満症適応薬、ゼップバウンドについてです。
ゼップバウンドの基本情報
ゼップバウンドはイーライリリー社が開発した肥満症治療薬で、日本では2024年に承認されました。
- 一般名: チルゼパチド
- 製品名: ゼップバウンド皮下注(Zepbound)
- 投与方法: 週1回、自己皮下注射
- 用量: 2.5 / 5 / 7.5 / 10 / 12.5 / 15mg (6段階)
- 日本承認: 2024年
成分のチルゼパチドは、糖尿病治療薬のマンジャロと同じです。ただしマンジャロは糖尿病用、ゼップバウンドは肥満症用として別個に承認されています。
ウゴービとの決定的な違い
ウゴービ(セマグルチド)とゼップバウンド(チルゼパチド)の最大の違いは、作用する受容体です。
ウゴービ: GLP-1受容体に作用する単一作動薬 ゼップバウンド: GLP-1受容体 + GIP受容体に作用するデュアル作動薬
GIPもGLP-1と同じく腸管から分泌されるホルモンで、インスリン分泌や脂質代謝に関わります。GIPとGLP-1の両方に同時に作用することで、より強力な代謝改善効果が期待される、というのがゼップバウンドの設計思想です。
臨床試験データ
ゼップバウンドの大規模臨床試験(SURMOUNT-1試験、Jastreboff AM, et al. NEJM 2022)では、72週間の投与で:
- 15mg群: 平均20.9%の体重減少
- 10mg群: 平均19.5%の体重減少
- 5mg群: 平均15.0%の体重減少
- プラセボ群: 平均3.1%の体重減少
これは海外データですが、ウゴービのSTEP試験データを上回る減量効果が報告されています。
ただし注意点があります:
- ウゴービのSTEP 6試験は東アジア人対象、ゼップバウンドのSURMOUNT-1は欧米中心
- 試験デザインや対象者背景が異なる
- 日本人での臨床経験はまだ蓄積中
なので「ゼップバウンドの方が効く」と単純に言えるわけではありません。
副作用プロファイル
副作用はウゴービと類似しています。
- 消化器症状(吐き気・便秘・下痢・腹痛・食欲減退)
- 重篤なもの: 急性膵炎・胆嚢炎・低血糖・甲状腺髄様癌
GIP作用が加わることで消化器副作用がやや軽い、という報告もありますが、個人差が大きく、一概には言えません。
ウゴービ同様、低用量(2.5mg)から開始し、4週ごとに段階的に増量していきます。
当院での使い分け
Doctor’s Fitness診療所では、ウゴービとゼップバウンドの両方を取り扱っています。どちらを使うかは、以下を考慮して決めています。
ウゴービを選ぶケース:
- セマグルチドの日本人データ(STEP 6)が豊富で安心感がある
- 消化器副作用に敏感な方
- まず標準的な選択肢から試したい方
ゼップバウンドを選ぶケース:
- より大きな減量を目指したい方(BMI 35以上など)
- ウゴービで効果が不十分だった方
- GIP作用のメリットを期待する方(2型糖尿病の代謝改善目的など)
ただし、どちらも「食事・運動・睡眠と並行して、卒業を前提に使う」という方針は同じです。薬の選択より、生活習慣改善の方が本質的に大事という考えは変わりません。
どちらを選ぶか迷ったら
実は、初診時に「どちらにしますか?」と聞かれて即決できる方はほぼいません。
医師として、患者さんの体格・既往歴・健康障害・ライフスタイル・予算・治療目標を総合的に見て、推奨を提示します。最終的には患者さんと一緒に決める形です。
LINEからお気軽にご相談ください。「どっちがいいか相談したい」だけでもOKです。
ご相談はLINEからいつでもどうぞ。
それでは、また!
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よくある質問
- Q.ゼップバウンドはウゴービより効果が高いのですか?
- A.海外の臨床試験データではゼップバウンドの方が大きな体重減少を示しています(72週で22.5%減 vs ウゴービ68週で13.2%減)。ただし試験デザインが異なり、日本人での臨床経験はまだ蓄積中です。個人差も大きいので一概に「優れている」とは言えません。
- Q.ゼップバウンドとマンジャロは同じ成分ですか?
- A.両方ともチルゼパチドで成分は同じです。ただし、マンジャロは2型糖尿病用、ゼップバウンドは肥満症用として、別個に薬事承認されています。同じ成分でも適応が異なるため、使い分けが必要です。
- Q.ゼップバウンドはどのくらいの費用がかかりますか?
- A.ウゴービと同様、現状では自費診療となるケースがほとんどです。当院では月額26,000円〜(用量により変動)で、ウゴービと同等の価格帯です。保険適用の条件は限定されています。