こんにちは、院長の宮脇大です。
「ウゴービを試してみたいんですけど、私使えますか?」というご質問、本当によくいただきます。
肥満症の薬事承認を受けた治療薬とはいえ、全員に使えるわけではありません。今日は禁忌(使ってはいけない方)と慎重投与(注意して使う方)について、整理してお話ししますね。
絶対に使えない「禁忌」のケース
添付文書で明確に禁忌とされているのは、以下の方々です。
① 甲状腺髄様癌の既往または家族歴がある方
GLP-1製剤は動物実験で甲状腺C細胞腫瘍のリスクが報告されており、人での明確な関連はまだ不明ですが、念のため禁忌となっています。家族歴も含まれるので、家族に甲状腺癌の方がいる場合は、必ず種類を確認してください。
② 多発性内分泌腺腫症2型(MEN2)
これも甲状腺髄様癌のリスクが高い遺伝性疾患のため禁忌です。
③ 重篤な過敏症の既往
セマグルチドや添加物にアレルギーがある方。
慎重投与となる方
絶対禁忌ではないものの、リスクを慎重に評価する必要がある方です。
① 急性膵炎の既往
GLP-1製剤は稀ながら急性膵炎を起こすリスクがあります。既往がある方は再発リスクが高まる可能性があり、慎重な判断が必要です。
② 胆石・胆嚢炎の既往
急激な体重減少は胆石形成を促進し、胆嚢炎のリスクが高まります。胆嚢摘出後の方も含めて慎重投与となります。
③ 重度の消化管疾患
胃不全麻痺(ガストロパレーシス)、重症の逆流性食道炎、炎症性腸疾患の活動期など。GLP-1は胃排出を遅らせる作用があるため、症状を悪化させる可能性があります。
④ 摂食障害の既往
神経性食欲不振症などの摂食障害がある(あった)方への投与は、症状を悪化させるリスクがあるため慎重に判断します。
⑤ 重度の腎機能・肝機能障害
ウゴービは主に腎臓と肝臓で代謝・排泄されるため、機能が大きく低下している方では用量調整や見送りが必要なことがあります。
妊娠・授乳について
妊娠中・授乳中の使用は推奨されません。
妊娠を希望される方は、ウゴービ中止の2ヶ月後を目処に妊活開始がよいとされています。事前にスケジュールをご相談ください。
「年齢」の制限について
国内の添付文書では18歳以上が対象です。高齢者(65歳以上)に上限はありませんが、併存疾患や薬剤との相互作用を考慮して慎重に判断します。当院では75歳以上の方への新規導入は、メリット・デメリットを丁寧に評価してから決めています。
Doctor’s Fitness診療所の禁忌確認フロー
当院ではウゴービ開始前に、以下を必ず確認します。
- 問診: 既往歴・家族歴・服用中の薬・アレルギーを詳細に
- 血液検査: 肝機能・腎機能・血糖・甲状腺機能(TSH)・膵酵素(リパーゼ)
- 既往疾患の評価: 胆石・膵炎・甲状腺・消化管・腎肝の問題がないか
そのうえで、適応条件と合わせて総合的に判断します。「自分は使えますか?」のご相談だけでもOKです。気になる既往がある方こそ、まずはLINEでご相談ください。
それでは、また!
次回は「肥満症と糖尿病 — 寛解は可能か」についてお話ししてみますね。
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よくある質問
- Q.家族に甲状腺癌の人がいる場合、ウゴービは使えませんか?
- A.甲状腺癌の中でも「髄様癌」の家族歴がある場合は禁忌です。乳頭癌・濾胞癌など他のタイプの甲状腺癌の家族歴は禁忌ではありませんが、診察時に必ずお伝えください。家族歴の詳細を確認したうえで判断します。
- Q.妊娠中・授乳中の使用はできますか?
- A.推奨されません。妊娠を希望される方は、計画と治療スケジュールを事前にご相談ください。ウゴービは妊娠予定の2ヶ月前までに中止することが望ましいとされています。
- Q.1型糖尿病でも使えますか?
- A.ウゴービは1型糖尿病の方には推奨されていません。1型糖尿病はインスリン分泌が枯渇している病態であり、GLP-1製剤の作用機序が異なります。2型糖尿病合併の肥満症が主な対象です。