こんにちは、院長の宮脇大です。

今日はGLP-1製剤のなかで、肥満症に薬事承認されているウゴービについて、もう少し詳しくお話ししてみます。

ウゴービの基本情報

ウゴービはノボノルディスクファーマ(デンマーク)が開発した肥満症治療薬です。

  • 一般名: セマグルチド
  • 製品名: ウゴービ皮下注(Wegovy)
  • 投与方法: 週1回、自己皮下注射(腹部・大腿部・上腕部のいずれか)
  • 用量: 0.25mg / 0.5mg / 1.0mg / 1.7mg / 2.4mg (5段階)
  • 日本承認: 2023年

「セマグルチド」という成分は、糖尿病治療薬のオゼンピック・リベルサスと同じものです。ただし、ウゴービは肥満症用により高用量まで使えるよう設計されています(最大2.4mg)。

どうやって体重を減らすのか

ウゴービの作用は、おおまかに3つの経路があります。

① 脳の満腹中枢に働きかけて食欲を抑える GLP-1受容体は脳の視床下部にもあり、ここに作用すると「満腹だ」という感覚が強まります。

② 胃の動きを遅くして満腹感を持続させる 胃から十二指腸への食物の流れがゆっくりになり、少量で長く満腹感が続きます。

③ 血糖値の変動を穏やかにする 食後の血糖スパイクを抑え、インスリンの過剰分泌を防ぐことで脂肪の蓄積を抑えます。

つまり、「食べすぎたい欲求を物理的に抑える」働きをするわけです。意志の力ではなく、薬理学的に食欲をコントロールするイメージですね。

STEP 6試験 — 東アジア人のデータ

ウゴービの臨床試験のなかで、日本人を含む東アジア人を対象としたのがSTEP 6試験です(Kadowaki T, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2022)。

ベースライン平均体重87.5kgの被験者に、500kcal/日のカロリー制限と150分/週の身体活動指導を併用しながらウゴービを68週投与した結果:

  • 2.4mg投与群: 平均13.2%の体重減少
  • 1.7mg投与群: 平均9.6%の体重減少
  • プラセボ群: 平均2.1%の体重減少

つまり、87.5kgの方がウゴービ2.4mgを1年4ヶ月続けると、平均で 約11.5kg減量したという結果になります。

ただし、これは「食事制限と運動指導と併用した場合」のデータです。薬だけで痩せたわけではない点は強調しておきたいです。

段階的に用量を増やす理由

ウゴービは最初から最大用量(2.4mg)で始めるわけではありません。

標準的な増量スケジュール:

  • 1〜4週目: 0.25mg
  • 5〜8週目: 0.5mg
  • 9〜12週目: 1.0mg
  • 13〜16週目: 1.7mg
  • 17週目以降: 2.4mg(目標用量)

なぜ段階的かというと、副作用(吐き気・便秘・下痢)を抑えるためです。低用量から始めて体を慣らしていくことで、不快な症状を最小限にできます。

患者さんによっては、増量の途中で副作用が強く出て、1段階前の用量で維持することもあります。「絶対に2.4mgまで上げる」ではなく、その方に合った用量を探していくイメージです。

「卒業」を前提に使う

ウゴービは強力な薬ですが、注射をやめれば食欲も胃の動きも元に戻ります

つまり、薬だけに頼っている限り、体重を維持するには注射を続けなければなりません。

当院では、ウゴービの効果が出ている期間(12〜18ヶ月)に、食事・運動・睡眠の習慣を整えて、薬がなくても維持できる体と暮らしを作ることをゴールにしています。

これが「卒業プログラム」のコアコンセプトです。

副作用について

詳しくは別記事で書きますが、主な副作用は:

  • 消化器症状(吐き気・便秘・下痢・腹痛・食欲減退)
  • 重篤なもの: 急性膵炎・胆嚢炎・低血糖・甲状腺髄様癌(稀)

増量時に消化器症状が出やすいですが、多くの場合は2〜4週間で軽快します。重篤な副作用は稀ですが、注意深いモニタリングが必要です。

まとめ

ウゴービは「魔法の痩せ薬」ではなく、適切に使えば肥満症治療に有効な医薬品です。

「食事・運動・睡眠 × 適正使用 × 卒業」がセットで初めて意味があります。LINEからご相談いただければ、適応・効果・副作用について詳しくお話ししますよ。


ご相談はLINEからいつでもどうぞ。

それでは、また!

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よくある質問

Q.ウゴービの最大用量はどれくらいですか?
A.最大用量は週1回2.4mgです。初回は0.25mgから開始し、4週ごとに増量していきます(0.25→0.5→1.0→1.7→2.4mg)。急に高用量から始めないのは副作用を抑えるためです。
Q.ウゴービはどのくらいの期間使うものですか?
A.海外の臨床試験では68週(約16ヶ月)が標準的な投与期間です。当院では生活習慣改善と並行して使用し、目標達成後に「卒業」することをゴールにしています。中止すれば徐々に体重は戻り得るので、薬だけに頼らない設計が大事です。
Q.ウゴービはどんな人が対象になりますか?
A.BMI 27以上で11の健康障害を2つ以上有する方、またはBMI 35以上の方が対象です。糖尿病・高血圧・脂質異常症などの合併症がある場合に処方されます。詳しい適応条件は当院のLPをご確認ください。

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