こんにちは、院長の宮脇大です。
「運動はしないといけないって分かってるんですが・・続かないんですよね」
外来で本当によく聞きます。私自身もそうでした(笑)。
でも、肥満症の治療において運動療法は3本柱のひとつとして絶対に外せない要素です。今日は、医師として「これは本当に効く」と思える運動の選び方をお話ししますね。
運動の目標値:WHOの推奨
WHO(世界保健機関)が示している成人の運動推奨量は:
- 週150分以上の中強度有酸素運動(早歩き、軽いジョギング、サイクリングなど)
- または週75分以上の高強度運動
- 加えて週2回のレジスタンス運動(筋トレ)
「週150分」と聞くと多そうですが、1日30分×5日でクリアできます。
ただ、いきなりこの目標を達成する必要はありません。最初は10分のウォーキングからでもOK。少しずつ増やしていきましょう。
① 土台はウォーキング
肥満症治療の運動療法は、ウォーキングが土台です。
理由:
- 関節への負担が少ない
- 特別な器具・場所が要らない
- 続けやすい
- カロリー消費が安定している
**「早歩き(中強度)」**を目指してください。会話はギリギリ続けられるけど歌は歌えない、くらいのペースです。
② BMIが高い方は「膝・腰の負担」に注意
BMI 30以上の方が、いきなりジョギングを始めるのは要注意です。
体重の増加分は、走る時に膝・腰に体重の2〜3倍の負荷としてかかります。BMI 35の方が走ると、変形性膝関節症や腰痛が悪化することがあります。
代替案:
- 水中ウォーキング(プールでの歩行) ── 関節負担なし、抵抗で消費カロリー高め
- 自転車(エアロバイク含む) ── 膝への衝撃が少ない
- エリプティカル(クロストレーナー) ── ジムにある、関節負担少ない有酸素マシン
ある程度減量できてから、地上のウォーキング・ジョギングに移行するのが安全です。
③ 筋トレも忘れずに
減量中は、放っておくと筋肉も一緒に減ってしまいます。基礎代謝が下がり、リバウンドしやすい体になります。
これを防ぐのが筋トレ(レジスタンス運動)です。
週2回、15〜30分程度でOK。
最低限やってほしい3種目:
- スクワット(下半身、最大の筋肉群)
- 腕立て伏せ(上半身、自重でOK)
- プランク(体幹)
これだけでも基礎代謝の維持に十分効果があります。
④ 続けるコツ:「行くまでが勝負」
私の持論ですが、運動を続ける最大のコツは、**「やる気を頼らない仕組み」**を作ることです。
具体的には:
A. パーソナルジムに行く
トレーナーに身を任せる。お金を払っているので行く動機が生まれる。
B. ジムに「ついで」を組み込む
仕事帰り、買い物の前など、別の用事と一緒にする。
C. 友人・家族と約束する
「来週の土曜10時、一緒に歩こう」と約束しておく。
D. スマートウォッチを使う
毎日の歩数・運動時間が見える化されると、続けやすくなります。
医療費控除の対象となる連携施設
実は、医師の指示書がある運動療法は 医療費控除の対象 になるケースがあります。当院では、医療費控除対象となる連携フィットネス施設をご紹介できます。
詳しくは rx.doctors.fitness をご覧ください。
Doctor’s Fitness診療所では
当院の卒業プログラムでは、運動療法を生活パターンに合わせて設計します。トレッドミルが続かない方には水中ウォーキングを、ジム嫌いの方には日常生活への組み込み方を、丁寧に提案します。
「自分にできる運動」から始めましょう。詳しくは卒業プログラムのページへ。
それでは、また!
次回は「肥満治療とパーソナルジム — なぜ自宅でできないのか」というテーマでお話しします。
関連記事:
- 肥満症の食事療法
- 運動の詳細はrx.doctors.fitness
よくある質問
- Q.運動はどれくらいの頻度・時間が目安ですか?
- A.WHOの推奨は週150分以上の中強度有酸素運動(早歩き等)、または週75分以上の高強度運動です。これに加え、週2回の筋トレ(レジスタンス運動)が推奨されています。いきなり目標を達成しなくても、少しずつ増やしていけばOKです。
- Q.減量目的なら有酸素運動と筋トレ、どちらが優先?
- A.両方やるのが理想ですが、現実的には「有酸素を土台に、筋トレを少し」がバランス良いです。筋トレは基礎代謝を保ち、減量中の筋肉量減少を防ぐ意味で重要です。
- Q.運動が苦手・続かない人にはどんな工夫がありますか?
- A.①パーソナルジムに通う(行くまでが勝負)、②日常生活に組み込む(駅は階段、一駅前で降りる)、③スマートウォッチで歩数を見える化、④友人や家族と一緒に始める、などが有効です。「楽しい」と感じる運動を見つけることが、長続きの秘訣です。