こんにちは、院長の宮脇大です。
「先生、糖尿病って一度なったら、もう治らないんですよね?」
外来でよくいただくご質問です。半分本当で、半分は誤解、というのが正確なところです。
今日は「肥満を伴う2型糖尿病」が、減量によって寛解する可能性についてお話ししてみますね。
「寛解」という言葉
医学用語で「寛解(かんかい)」は、薬を使わずに病気が良い状態で安定していることを指します。
「治癒」とは少し違います。治癒は「もう二度と起こらない」というニュアンスが強い。一方で寛解は「今は安定しているが、生活が乱れれば再発し得る」という前提が含まれています。
それでも、患者さんにとって**「薬を飲まなくていい生活」**は大きな違いです。
2型糖尿病は減量で寛解する
肥満を伴う2型糖尿病は、減量によって寛解する可能性があります。
イギリスで行われた大規模研究(DiRECT試験、2018年)では、強力な食事介入で平均15%減量した群の半数近くが薬なしで寛解しました。減量幅が大きいほど、また糖尿病罹病期間が短いほど、寛解率は高くなる傾向があります。
なぜ減量で糖尿病が良くなるのか。シンプルに言うと、内臓脂肪が減ることで:
- 膵臓のβ細胞(インスリンを出す細胞)の負担が減り、機能が回復する
- 脂肪肝が改善し、肝臓のインスリン抵抗性が下がる
- 筋肉のインスリン感受性が戻る
つまり、糖尿病の根本原因である「インスリンが効きにくい体」が、減量で改善するわけです。
当院での経験
当院でも、卒業プログラムで減量に成功された方の中に、糖尿病薬を減量・中止できた方が複数いらっしゃいます。
具体的には:
- HbA1c 7.2%(糖尿病薬2剤内服中) → 10%減量後 → HbA1c 6.0%、薬1剤に減量
- HbA1c 6.8%(SGLT2阻害薬内服) → 12%減量後 → HbA1c 5.8%、薬中止
もちろん全員がうまくいくわけではなく、罹病期間が長い方や、もともとインスリン分泌機能が大きく低下している方では難しいケースもあります。
なぜ「ウゴービ + 生活習慣改善」が効くのか
ウゴービは食欲を抑え、減量を強力にサポートします。しかし、薬だけでは「やめたら戻る」状態のままです。
当院では、ウゴービの効果が出ている12〜18ヶ月の間に、食事・運動・睡眠の習慣を整えることを並行して行います。これにより、ウゴービ卒業後も体重を維持し、糖尿病の寛解状態を保ちやすくなる、という設計です。
詳しくは卒業プログラムのページもご覧ください。
寛解を維持するために大切なこと
寛解は「治癒」ではないので、以下が大切です。
- 毎日体重を測る(増えてきたら早めに対処)
- HbA1c・空腹時血糖を定期チェック(年4回程度)
- 食事・運動の習慣を緩めない
「以前糖尿病だった」という事実は消えませんが、薬なしで健康に過ごせる時間は確実に長くできます。
それでは、また!
次回は「肥満症と高血圧 — 減量で薬を減らせるのか」についてお話ししますね。
関連記事:
- 肥満症とは何か
- GLP-1治療薬の種類と適応
- 食事改善の詳細は: eat.doctors.fitness
よくある質問
- Q.糖尿病が「治る」と「寛解」は何が違うのですか?
- A.「寛解」は薬なしで血糖が安定している状態を指し、生活習慣が乱れれば再発し得る点で「治癒」とは区別されます。それでも患者さんにとって「薬を飲まない生活」は大きな前進であり、寛解を目指す価値は十分にあります。
- Q.どのくらい痩せれば糖尿病が寛解しますか?
- A.海外の大規模研究(DiRECT試験など)では、体重を10〜15%減らした方の半数前後が寛解しています。減量幅が大きいほど、また糖尿病罹病期間が短いほど寛解率は高くなります。
- Q.糖尿病の薬を飲んでいてもウゴービは使えますか?
- A.使えます。当院では、減量に伴って血糖が改善した時点で、糖尿病薬を段階的に減らしていきます。低血糖を避けるため、自己判断ではなく医師の指示で慎重に減量することが大切です。